V. A. / The Best of Black Jazz Records (Universal Sound/Soul Jazz 1996 2003) CD

ニューヨークのストラタ・イーストデトロイトのトライブ、シカゴのネッサなどと並んで、1970年代に林立したインディペンデント・ジャズ・レーベルの一つ、ブラック・ジャズアフリカ系アメリカ人の人種意識の高揚を目指した一連のサウンドは、スピリチュアル・ジャズとも呼ばれている。ダグ・カーン、ヘンリー・フランクリン、ルドルフ・ジョンソンなどがブラック・ジャズで活躍した代表的なミュージシャン。

1968年にキング牧師が暗殺され、公民権運動が表向きには失速するなかで、ジャズ(に限らないが)自体が内向化して精神性や宗教性に重きを置きはじめた、というのがスピリチュアル・ジャズの一般的な説明である。音楽的にはジョン・コルトレーンの『至上の愛』(1964)やファラオ・サンダースの系譜上にありつつ、エレクトリック・ベースやオルガン、それにしばしば歌が入っていることも特徴としてあげられる。

初めてこのレーベルに興味を持ったのは、だいぶ前のこと。ベイ・エリア・ファンクを代表するバンド、タワー・オブ・パワーでオルガンを弾くチェスター・トンプソンが、このレーベルからソロ・アルバムを出しているのを知ったのがきっかけ。1971年にリリースされた『パワーハウス』(Black Jazz 1971 P-Vine 1998)では、タワー・オブ・パワー参加以前の正統的なオルガン・ジャズを演奏するトンプソンを聴くことができる。ちなみに、彼は1983年以降はサンタナ・バンドのオルガン奏者として活躍している。あと、よく間違える人がいるけど、ザッパ・バンドにいたドラマーとは同姓同名だけど別人。