『はねるのトびら2』(フジテレビ/ポニーキャニオン 2003)DVD

深夜のお笑い番組はねるのトびら』 をまとめたDVD第二弾。出演はキングコング、ロバート、ドランクドラゴン北陽、インパルス。2001年4月に番組がスタートしたあと、一度は中断したものの今年の4月に復活。この間、雑誌で特集が組まれるなど、かなりの盛り上がりを見せたのは記憶に新しい。とにかく番組開始以来のファンとしては、末永く続いてくれることを祈るのみ。

はねるのトびら』の面白さとして、誰も(触れたいのに)触れようとしなかったジャンルを笑いのネタにした点があげられる。『クイック・ジャパン』46号で菊地成孔が指摘しているが、「オタク」の生態をデフォルメして「笑い」の領域に持ち込んだのはおそらく彼らが初めてではないか。その意味で、今回のDVDの白眉は「聞き上手講座」と「話し上手講座」、それに「大阪で生まれた男」で展開される「関西人」ネタかもしれない。大阪=吉本文化が現在のテレビ番組を文字通り席巻するなかで、「大阪弁」そのものを茶化してネタにする行為はかなりの危険球だと言える。しかも、その象徴としてやしきたかじん円広志の名前が連呼されるあたりは、相当きわどい(笑)。

あと、個人的に好きなのはドランクドラゴン塚地扮する小学5年生キャラ。80年代以降、特にとんねるずの一連の番組で楽屋裏を見せて笑いを取る手法が一般化したが、このキャラクターはそうした態度が今ではお茶の間の視聴者にまで波及していることを「ネタ」にしている。いわば業界ネタそのものをパロディーにしているわけで、こうした姿勢にこの番組の野心を感じたりもする。

ネタを通して観ると、やっぱりロバート秋山の才能が突出しているように思う。「徹夜ンアソブ」や「栞と博のテーマ」に代表される、何とも形容しがたいキャラの濃さは抜群。「サラリーマン塚地さんの一発ギャグノススメ」に若干の翳りが見えるような気がするが、それが錯覚であることを切に願う。