セックス・モブ『ダイム・グラインド・パレス』(Sex Mob / Dime Grind Palace; Ropeadope P-Vine 2003)CD

元ラウンジ・リザーズのスティーヴン・バーンスタイン率いるニッティング・ファクトリー周辺のジャズ系ジャム・バンド。ニューヨークの新興レーベル、Ropeadope からの2枚目。以前に取り上げたジョン・メデスキ監修によるセイクリッド・スティールのコンピレーション もこのレーベルだった。他にもMM&W、DJロジック、それにフィッシュのベーシスト、マイク・ゴードンやダーティ・ダズン・ブラス・バンドもここからアルバムを出している。ジャム・バンド大集合といったところか。

ちなみにこのレーベル名(ローパドープ、と発音)はボクシング用語の一つで、ロープに寄りかかり相手に有効でないパンチを打たせて消耗させることをいう。とくにモハメド・アリが晩年に多用したと言われる戦術だ(『リーダーズ・プラス』)。同じように即興演奏中心のインストルメンタルといっても、従来のジャズやフュージョンに特有の「研ぎ澄まされた緊張感」ではなく、のらりくらりとした演奏を通していつのまにか観客がのせられている「なし崩し感」がジャム・バンドの特色だとすれば、このネーミングは言い得て妙かも。

それにしてもこのアルバムはいいぞ。バーンスタインの淫靡でヤサグレ感満載のスライド・トランペットが素晴らしい。軍楽隊マーチ、ディクシー、フリーなどジャズ史的ごった煮を実現しつつ、クレズマーなど民族色の強い楽曲も収録されているあたり、日本でいうと渋さ知らズに近いのかも。各方面で大活躍のトニー・シェール(b)&ケニー・ヴォルセン(dr)のリズム隊がいい味出してるし、タイトル曲でデイヴィッド・トロンゾが爪弾くスライド・ギターも絶品。