日本ポピュラー音楽学会第15回大会@中京大学(11/29、30)

体調を崩したうえにぎりぎりまで他の仕事をしていたので、へろへろの状態で会場入り。土曜日は飲み会も中座して次の日に備える。

ワークショップ「民謡は音溝にのって」(代表・司会:細川周平、森博史、高橋美樹、大和田俊之、討論者:三井徹(敬称略))

というわけで、日曜日のパネルで発表。各地域(アメリカ、アイルランド、沖縄)における民謡の発掘と流通プロセスを比較検証するというのが大きなテーマ。はじめに、細川さんが民衆(Volks)という概念の起源から説きおこして問題の枠組みを提示。次に、僕が30年代のローマックス親子の活動と52年に発売されたハリー・スミスの『アンソロジー・オブ・アメリカン・フォーク・ミュージック』を中心にアメリカの流れを報告。森さんはアイルランドの事例(ポール・ケネディーやLP選集などを中心に)を豊富な一次資料とともに紹介した。高橋さんは、戦前のマルフクや戦後の竹中労など沖縄音楽の流通・媒介に努めたレコード会社や個人を、主に<内向き><外向き>という視点で整理。最後に、三井さんが自らフォーク・リヴァイヴァルを体験した立場から、テクノロジーの変遷やメディアの違いなど多くの問題点を指摘すると同時に、パネル全体を総括した。

ふだん参加しているアメリカ文学会などではなかなか他の地域と比較する機会がないので、すごく刺激的なセッションだった。メディア、聴衆、ジャンル、国家の関与など様々な問題が浮かび上がる。とくにアメリカでは、こうした点はだいたい1930年代に出そろった問題だといえるのだが、他の地域においてもこの時期が大きな転機になっていたことを確認する。これからもいろいろな形で発展させていきたい研究テーマだと思う。フロアからも、今後の参考となるようなたくさんのアイディアをいただいた。