Randy Newman "In Defense of Our Country"

http://journal.nonesuch.com/journal/2007/01/a_few_words_in_.html

ランディ・ニューマンがノンサッチのサイトで弾き語り。昨年、カーネギー・ホールで演奏した曲で、いまはiTunesで購入できるらしい(追記:日本からだとダメみたい)。1月24日付けのニューヨーク・タイムズに簡約版が掲載されている*1。それにしても、いかにもランディ節全開、という感じの曲。「アメリカの言い分も聞いてくれよ/たしかに今の大統領は最悪だけど/世界にはもっとひどいやつがいくらでもいただろ」(意訳)とはじまり、シーザー、ヒトラースターリン、レオポルド王などの名前を列挙。

個人的に面白かったのが、[To the first eight bars of “Columbia The Gem Of The Ocean”]のあとのスタンザ。

You know it pisses me off a little
(少し頭に来るのは)
That this Supreme Court is gonna outlive me
(今の最高裁の布陣がオレより長生きしそうなことだ)
A couple of young Italian fellas and a brother on the Court now too
(しかも、判事のなかには若いイタ公が二人と黒人も一人いる)
But I defy you, anywhere in the world
(でもいっとくけど、世界中どこを探したって)
To find me two Italians as tightass as the two Italians we got
(うちらのあの二人ほどカタブツなイタリア人はいない)
And as for the brother
(それに黒人にしたって)
Well, Pluto’s not a planet anymore either
(まあ、冥王星はもう惑星じゃなくなってしまったしな)

少し解説すると、現在のアメリカの最高裁判所には二人のイタリア系(Antonin Scalia、Samuel Alito)と一人のアフリカ系(Clarence Thomas)の判事がいて、ここではそのことを指している。ちなみにこの三人はいずれも保守派として知られている。最後の「冥王星」(プルート)は、ギリシャローマ神話のプルート(ハデス)が地下の支配者であることから、dark、invisibleの意味で黒人の比喩になっている。

そして、歌の最後はこう締めくくられる。

The end of an empire is messy at best
(帝国の最後は混乱するものだ)
And this empire is ending
(そしてこの帝国も終わりを迎えている)
Like all the rest
(他のすべての帝国がそうだったように)
Like the Spanish Armada adrift on the sea
(海に漂流するスペインの無敵艦隊のように)
We’re adrift in the land of the brave
(われわれは勇敢の地でさまよい)
And the home of the free
(自由の国に漂っている)

Goodbye. Goodbye. Goodbye.
(さよなら、さよなら、さよなら)