小説の読み方?
はてなの設定をいろいろいじっていたら、これまでのブックマークがぜんぶはずれてしまったみたいです。ご迷惑をおかけした方がいるかもしれません。すみません。
ところでブックマークとアンテナとRSSリーダーがどう違うのか、いまだによくわからない。いや、それぞれの使い方はなんとなくわかるんだけど、これ、みなさんどうやって使いわけているのでしょうか。
- 作者: アメリカ文学の古典を読む会
- 出版社/メーカー: (株)南雲堂
- 発売日: 2007/03/09
- メディア: 単行本
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ご恵投賜りました。ありがとうございます。
前作『亀井俊介と読む古典アメリカ小説12』(南雲堂)に引き続いて、亀井先生を中心とする読書会をもとにした本。
今回取り上げられている作品は、
- ヒュー・ヘンリー・ブラッケンリッジ『当世風騎士道』
- フレデリック・ダグラス『フレデリック・ダグラスの生涯の手記』
- ナサニエル・ホーソーン『ブライズデイル・ロマンス』
- ファニー・ファーン『ルース・ホール』
- ヘンリー・デイヴィッド・ソロー『メインの森』
- ヘンリー・ジェイムズ『ボストンの人々』
- W・E・B・デュボイス『黒人の魂』
- ガートルード・スタイン『Q・E・D』『三人の女』
- イーディス・ウォートン『夏』
- エイブラハム・カハーン『デイヴィッド・レヴィンスキーの向上』
- シャーウッド・アンダーソン『貧乏白人』
- ジョン・ドス・パソス『マンハッタン乗換駅』
の12人13作品。
「古典」といっても、ひとむかし前のアメリカ文学史には載っていないような作家やマイノリティの作家が取り上げられていて、ここ20年くらいの「文学史の書き換え」の成果を踏まえたラインナップ。あと、メジャーな作家のなかでも比較的マイナーな作品が取り上げられているのも本書の特徴かも。
まず参加者のうち二人が作品について発表を行い、それをもとに全員でディスカッションをする様子がそのまま掲載されている。こういうふうに一つの作品について座談会形式で語りつくす企画って、もっとあってもいいのかもしれない。いわゆる論文集に比べても圧倒的に読みやすいし、英文科の学生もこの方がはるかにとっつきやすいはず。あと、たとえばイーディス・ウォートンの『夏』を取り上げた章のように、会話調ゆえに参加者の解釈の違いが鮮明になってすごく面白い。
それでここからは本筋とは少しずれるけど、この本の最後にはこれまでの12年におよぶ読書会を振り返る座談会が掲載されていて、これが非常に興味深い。亀井先生の方針で、読書会ではできるかぎり理論武装せずに素直な感想をぶつけあうことになっていたようだが、その「素直な読み」をめぐって参加者から若干の違和感が表明されている。実際、発表をみても、明らかにフェミニズム的な手法で作品を読み込んだものもあって、でもだからといってそれが「文学理論」を用いたからというよりは「素直に読んだ結果」であるようにみえるのは、フェミニズムがそれだけ価値観として浸透しているからだろう。
きちんと作品に向かい合って鑑賞/吟味することを優先する世代と、文学理論を所与のものとした世代の微妙なすれ違いは今となってはそれほど珍しくないが、本国アメリカでもこのテーマは最近話題になっているようだ。先日書評した*1『働かない─「怠けもの」と呼ばれた人たち』の著者、トム・ルッツがサロン・ドットコムに記事を書いているので貼っておきます。いかにもルッツらしい、バランスの取れた文章で読みごたえがある。
http://www.salon.com/books/feature/2007/03/08/reading/index.html
簡単にまとめると、文学理論やジャーゴンばかりがとびかう昨今の文学研究を嘆き、本来の「古典」を精読して鑑賞する作法を取り戻そうと主張する人々─ハロルド・ブルームなど─に対して、「経済学者や物理学者が専門用語を使うことには何も言わないのに、文学研究者にだけどうしてみんな怒りをあらわにするのか」と皮肉を込めつつ、その当の人々が主張する「ほかの文献はなるべく参考にせず、作品そのものに向き合おう」とする姿勢─もちろん、これはニュークリティシズムというひとつの「理論」的立場だ─が生まれた歴史的経緯を明らかにする、といった感じ。ほかにも別の話題にいくつか触れているんだけど、最後にそうした「小説の読み方」について最近出版された本をいくつか紹介していて、そのなかで気になったのがこれ。
13 Ways of Looking at the Novel
- 作者: Jane Smiley
- 出版社/メーカー: Anchor
- 発売日: 2006/09/12
- メディア: ペーパーバック
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ピューリッツァー賞作家ジェーン・スマイリーによる「小説読本」。面白そう。だれか翻訳しないかな。