ヒップホップ・ジャパン

先日、師匠のお誘いで来日中のイアン・コンドリーさんにお会いした。イアンさんは文化人類学をご専門とするMITのジャパノロジスト。90年代半ばに日本のヒップホップの「現場」を丹念にフィールドワーク、その成果をまとめたのがこの本↓である(表紙はライムスター。昨年出版されてすでに増刷されている)。日本のヒップホップをアメリカナイゼーションの一環としてのみ捉えるのではなく、それがアメリカ本国や日本国内のさまざまな力学を通じて、いかに独自の発展を遂げたかを丁寧に描き出している。

Hip-hop Japan: Rap And the Paths of Cultural Globalization

Hip-hop Japan: Rap And the Paths of Cultural Globalization

ラップと日本語の問題を論じる前提として、大瀧/松本vs内田の「日本語ロック論争」をグローバリゼーションの文脈に配置するなど随所に刺激的な分析がみられる。それにしても、サントリー学芸賞を受賞したマイク・モラスキーさんの『戦後日本のジャズ文化』(青土社)もそうだが、海外の研究者による日本文化研究が最近目立つなあという印象。日本のジャズ関係ではE・テイラー・アトキンズの下記の本も評判がいいが、これ翻訳されないのでしょうか。

戦後日本のジャズ文化―映画・文学・アングラ

戦後日本のジャズ文化―映画・文学・アングラ

Blue Nippon: Authenticating Jazz in Japan

Blue Nippon: Authenticating Jazz in Japan

ところでイアンさんの本、文化人類学者らしく現場に深く踏み込むことで得られるレアなエピソードが満載で面白い。たとえば、ある業界関係者が匿名を条件に話したという「噂」は次のようなものだ。
1994年、日本ではEAST END+YURIの「DA.YO.NE」が大ヒットしていた。この曲のトラックにジョージ・ベンソンの "Turn Your Love Around"が使われているのは有名だが、たまたまその時期にジョージ・ベンソンご本人がブルーノート出演のために来日したらしい。彼はタクシーの中で「DA.YO.NE」を聴いて驚き、すぐにマネージャーに権利関係を確認するように指示したという。その結果、シングルを発売したエピック/ソニーは10万ドル近く払うはめになり、責任者もクビになってしまった・・というもの(79)。ほんとかよ!

ちなみに「DA.YO.NE」の元ネタとなった曲はこれ。ギターを持たないジョジベンってだいぶまぬけですね。

明日は朝一で京都。お会いする予定の方々よろしくお願いいたします。