人はなぜ声を加工するのか?
昨年Perfumeが話題になり始めたとき、その「ロボ声」についてプロデューサーの中田ヤスタカがテレビか雑誌で言っていた。「みんな楽器にはふつうにエフェクトかけるのに、なんで声を加工するとぐだぐだ言うわけ?」(言葉通りではないが、こんな感じのニュアンスで)。その一方で、Perfumeの「ポリリズム」は初音ミクver.も出てて、これだとそもそもメカっぽくしたいのか逆に生っぽくしたいのかよくわからん(むちゃくちゃ笑いました>Aさん)。というか、あれただのオンチに聞こえるぞ。
かくしてサイボーグへの憧憬と人間への郷愁はかくも複雑に絡み合っているわけだが、実は海の向こうのヒップホップ界でも昨年は「ロボ声」がちょっとした当たり年だった。T・ペインのシングルがビルボード・チャートで1位になってるし、ダフト・パンクをサンプリングしたカニエ・ウェストの「ストロンガー」も大ヒットした。T・ペインの曲がこれ↓
そんなわけで、T・ペインとPerfumeの同時代性について考察してみよう。うそ。そんなたいそうなことはしないが、とりあえず昔から声を加工する方法はたくさんあったわけで(トークボックス[トーキング・モジュレーター]、ヴォコーダー、リング・モジュレイション、そして最近はオートチューン)思いつくままにYoutubeで拾ってみる。
まずはじめにスティーヴィー・ワンダーが歌う"Papa was a Rolling Stone"。
次にピーター・フランプトン。トークボックスといえばこの人。元ハンブル・パイ。ぼくはあんな陰気なブルースじゃなくて、こういうポップな曲がやりたかったんだよ!という意気込みにあふれた一曲。基本的にイントロとギターソロで使ってる感じですね。 Peter Frampton / Show Me the Way
さらにボン・ジョヴィ。流行ったなあ、これ。どれくらい流行ったかというと、中・高校生がみんなリッチー・サンボラの真似して「ンオンオンオンオ」歌いながら登下校してたというくらい流行った。Bon Jovi / Livin' on a Prayer
ロジャー・トラウトマン師匠。個人的な思い入れはこのあたりに一番あるが、このビデオが「あり」か「なし」かについては趣味がわかれるところでしょう。ぼくは当然ありです。Zapp / Dance Floor
それで最近(といってももう10年前か)だとシェール。これなんかはオートチューンですね、たぶん。Cher / Believe
まだまだたくさんあると思うけど、今日はこの辺で。でもこうやってまとめてみると,口にチューブをくわえて歌う昔のトークボックスは味わい深いなあ。学生のころ試そうと思ったんだけど、「あれやると脳みそが腐る」という人がいてやめたのでした。いずれにしても、Perfumeの三人もトークボックスでライブすればいいのに!