W&M(4)

昨日午後、学生より一足先に帰国しました。帰りのフライトでは隣に座った子どもが13時間にわたって泣きつづけて、(子どもに罪はないにせよ)さすがにまいった。

今回はW&M側の大学院生とも興味の対象がかぶるのでいろいろ話ができたし、なにより参加者の学生に変なの(面白いの)が多くて予想以上に楽しめた。20年ぶりにボウリングをしてみたり。帰り際に学生からメッセージ付きのカードをもらい、ワシントンDCに向かうアムトラックのなかで一枚一枚読みながらキュンとしてみたり。みなさんくれぐれもケガには気をつけて残りのプログラムを楽しんできてください。以下、印象的な講義のメモ。

8月4日はスコット・ネルソンの講義。タイトルは「人種とアメリカ音楽─ロックンロールの誕生」で、内容そのものは実はそれほど期待していなかったんだけど(いつもの話だろうと高をくくっていた)、これが驚くべき内容だった。歴史家らしく豊富な一次資料にもとづき、これまで聞いたことがないアプローチで「ロックンロール」に迫ってゆく。議論の組み立てにも感動したし、学生も楽しんでいた様子。

ネルソン氏は二年前にだした下記の本が数々の賞を受賞。大学院生に聞いたところによると、映画化もされるらしい。ブルースやヒルビリー・ファンにはおなじみの「ジョン・ヘンリー伝説」に関する一冊。ジョン・ヘンリーは伝説上の人物ではなく、実在したのだ!という驚愕の内容。オクスフォード大学出版局から出ているけど、一般向けに書かれていてとてもわかりやすい。再建期アメリカの南部社会を背景に、州政府の政策、鉄道敷設にかかわった黒人たちの生活、そしてジョン・ヘンリーの人生をじわりじわりとあぶりだす。講義のあと、ミーハー根性丸出しで本にサインをしてもらった。

Steel Drivin' Man: John Henry, The Untold Story of an American Legend

Steel Drivin' Man: John Henry, The Untold Story of an American Legend

8月5日はチャールズ・マクガヴァン*1の講義。10年以上スミソニアンのキュレーターを務めてからW&Mのファカルティに加わったらしく、レクチャーも博覧強記そのもの。学生には少しわかりにくかったようだけど(これは仕方がない)、その後のディスカッションでは面白い質問がいくつか出ていた。講義のあと、個人的にハリー・スミスについて少し話を聞く。西海岸の前衛映画運動にかかわったころの話や、晩年にアレン・ギンズバーグの世話になっていた話など。ひとつ質問すると10分くらい答えが返ってくる、典型的なwalking encyclopediaな人でした。

おまけ。ジョン・ヘンリー関連。上がミシシッピ・フレッド・マクダウエル、下がウディ・ガスリー