アル・クーパー@SHIBUYA-AX

BS&T、ブルース・プロジェクト、スーパー・セッションなどに参加したことで知られるアル・クーパー、待望の来日公演。「ジョリー」目当ての若者層が中心かと思いきや、客の年齢層は意外に高い。

とにかく、始めから終わりまでとことんイナタいメンフィス・グルーヴ満載のステージ。アルバム『赤心の歌』などを聞く限り、もう少し繊細で内省的なイメージを勝手に想像していたんだけど、ぜんぜん違う。むしろブルース・ブラザーズなんかに近いかもしれない。日本では「ジョリー」が人気、という情報をおそらく事前に入手したんだろうが、それにしてもあの曲の始まり方はないだろう。客に手拍子を強要して、イントロ部分を何度も繰り返す。これ以上あり得ないほどダサいアレンジ。全く違う曲になってたぞ。

それでも、アメリカ音楽の底力を感じたのも確か。ギターもホーンもめいいっぱい楽器が鳴っていて、それにアル・クーパーハモンドが豪快にまとわりつく。ミュージシャンもサーキットで鍛えた百戦錬磨の強者、といった風情。曲のクオリティーもすこぶる高く、極上のショーを堪能した気分。ただし、会場の選択は明らかに間違っていたと思う。たとえば原宿クロコダイルあたりで酒を飲みつつ食事を頬ばりながら、客とのやりとりを楽しむライブのほうが絶対に向いてるはず。どうみてもバー・バンドぽかったし。