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11月16日(月)
義理の伯父が亡くなったとの報。父親と連絡を取りながらもろもろ進める。

14時、病院。夕方に帰宅し、Alison BechdelのFun Homeを徹夜で読む。


11月17日(火)
朝方少しだけ寝て、12時過ぎに大学。14時、セミナー。今週の課題図書はアリソン・ベクデル*1Fun Home: A Family Tragicomic。2006年全米批評家協会賞候補作。Bechdelは1983年以来、レズビアンの日常を描いたDykes to Watch Out Forというコミック・ストリップを発表してきた作家。本作もレズビアンとしてカムアウトした著者がゲイの父親との関係をふりかえる回想録。とても面白かった。

Fun Home: A Family Tragicomic

Fun Home: A Family Tragicomic

The Essential Dykes to Watch Out For

The Essential Dykes to Watch Out For

ペンシルバニア州の片田舎で葬儀社を営む家族。教師をしながら自らの耽美的な世界にひきこもる父親と、レズビアンとしてのアイデンティティを獲得する語り手。作品は自殺とも思える事故死をとげた父親との関係を振り返りながら進む。その父親は、家族には隠していたものの実は同性愛者だったのだ・・・という内容。演習では作品のこうした反復的な構成や具体的なコマ割りの分析に始まり(みなさん、映画用語を駆使して議論していた)、おびただしい文学的引用などについても話し合う。グラフィック・ノベルに関する研究はアメリカでも少しずつ進んでいるようだ。

ちなみに、作者は「ベクデル・テスト」というものを提案していて、下記の条件を満たした映画のみを鑑賞するという。

  • 女性の登場人物が少なくとも二人以上いて、
  • 彼女たちが会話を交わし、
  • しかも、男以外のことが話題にのぼる。

セミナー終了後、レイチェルの研究室によって雑談。17時半ごろ、1ラインに乗って23丁目まで。Aの英語の先生であるジャネットと三人でお茶。ジャネットさんは人類学の博士号をお持ちで、若いころは三年かけてトルコから日本まで横断した「ヒッピー」だったらしい。映画や小説にとにかく詳しくて、いろいろ教えていただく。

夜、『文學界』とMarilynne RobinsonのGileadを読む。


11月18日(水)
終日大学図書館。夜、『新潮』とMarilynne RobinsonのGileadを読む。


11月19日(木)
13時、大学の近くでこちらで知り合った吉村さんと会う。数時間いろいろ話したあと、地下鉄でダウンタウンへ。16時半ごろ、カフェ・レッジオ*2で中地さん、松本さんとお茶。

夜、『新潮』とMarilynne RobinsonのGileadを読む。


11月20日(金)
どうもここ数日体調が悪いと思っていたのだが、これ花粉症ではないか。もともと日本でも誰にも共感されない時期に花粉症らしき症状に苦しんでいたのだが、とにかく喉が痛くて鼻がつまり視界がぼやける。薬局で薬を買って飲んでみたところ、たしかに症状は治まった。でも頭がぼんやりしたままで仕事にならない。


11月21日(土)
終日大学図書館

夜、『すばる』とMarilynne RobinsonのGileadを読む。


11月22日(日)
ぼくがひたすらひとり遊びをしているあいだに、Aは着々とニューヨークで人間関係を広げつつある。きょうはAに誘われて渡辺(だいたい渡辺ってぼくの中学の同級生なんだけどな。なんでAの方がいろいろ知っているのか)の友人宅へ。

Aラインでダウンタウンに向かうものの、42丁目で地下鉄が止まる。ほんとに週末の交通機関はダメだ。結局、タクシーを拾ってお宅まで。こちらで長いこと仕事をしている人たちで、アメリカ人の旦那さんも数人いた。いなり寿司をご馳走になる。

早めに失礼して、14時ごろ14丁目の駅から一気に191丁目まで。第四回(最終回)。文化や制度の違いが考え方にも影響を及ぼすことをつくづく実感する。それにしても準備が進まない。このあたりについては、またあらためて。17時半に終了。外に出るともう真っ暗である。いったん家に帰ってから9アベ沿いのインド料理屋*3で夕食。

夜、『群像』を読む。