2004年ベストテン(音楽)
(新譜)
- 青山陽一 / Odrel (Dreamusic / コロムビア 2004)
- Brian Wilson / Smile (Nonesuch 2004)
- Hair Stylistics / Custom Cock Confused Death (Daisyworld/Avex 2004)
- Max De Wardener / Where I Am Today (Accidental 2004)
- Moodymann / Black Mahogani (Peace Frog 2004)
- NRBQ / Dummy (Edisun 2004)
- 想い出波止場 / 大阪・ラ (Dako Vynal Fantasia 2004)
- さかな / Locomotion (Memory Lab 2004)
- V. A. / Songs of SAKANAーいろんな場所に君をつれてゆきたい (Cymbal Rimo Surf Team 2004)
- V. A. / The Q People: A Tribute to NRBQ (Spirithouse 2004)
アルファベット順。購入枚数が年々減っているので(140枚ほど)かなり偏ったリスト。さかなとNRBQ関連が二枚ずつ。ドラムのPOP鈴木がこのアルバムを最後に抜けることが決まった8)は、いつにも増して土臭いリズムが脈打っている。6) はここを参照。トリビュート盤ブームといわれてかなり経つが、僕にとっては今年が当たり年。9)はミワカタツノリやTica、それに田中亜矢の繊細な解釈が胸を打つ。逆に10)はロス・ロボスやボニー・レイットなどの大御所のトラックが際立っている。他にもジミヘンのトリビュート・アルバム[V. A. / Power of Soul: A Tribute to Jimi Hendrix (Experience Hendrix / Vap 2004)]が面白かった。
今年最大の収穫は4)。昨年のベストテン(ここ)ではダムタイプのサントラに似てると書いたが、アルバムを聴いてみるとグリッチやクリック音の他にもアコースティックな音色が混ざりあっていて、より色彩に富んだ印象。ところで三島賞作家中原昌也の3)は、実際のところどれだけ話題になったのだろうか。諧謔のノイズ。これ大傑作だと思うけどなあ。5)はマーヴィン・ゲイやスモーキー・ロビンソンのクワイエット・ストームからデレック・メイやカール・クレイグのテクノを貫くデトロイトの深い闇を受け継ぐアルバム。特異なソングライティングに更に磨きがかかった1)と、無秩序な錯綜が圧倒的な完成度で提示される7)。37年ごしに発表された2)は思いのほか感動的。次点として口ロロ / 口ロロ (Headz 2004)。
別枠で、詩の英訳とナレーションで製作に携わった菊地さんのアルバムもあげておきます[菊地成孔 / Degustation a Jazz (ewe 2004), (Chansons Extraites, Authentique / Bleue)]。
(再発/発掘音源)
- Arthur Russell / The World of Arthur Russell (Soul Jazz/Beat 2004)
- Donny Hathaway / These Songs for You, Live (Atlantic 1972 1980 Rhino/Warner 2004)
- Funk Brothers / The Best of Funk Brothers: 20th Century Masters The Millennium Collection (Motown/Universal 2004)
- はっぴいえんど / はっぴいえんどBOX (Prime Directions 2004)8CDs
- Hermeto Pascoal / Slave Mass (Warner Bros. 1977 2004)
- Laura Nyro / Spread Your Wings and Fly: Live at the Filmore East May 30, 1971(Columbia/SME 1971 2004)
- The Pogues / If I Should Fall from Grace with God (Warner 1987 2004)
- The Red Krayola / Singles (Drag City 2004)
- V. A. / Chicago Soul (Soul Jazz/Beat 2004)
- The Who / Tommy (Deluxe Edition) (Geffen/ユニバーサル 1969 2004)
こちらもアルファベット順。Soul Jazz関連が2枚。9)はチェス・レコードのコンピ。ハウリン・ウルフやマディ・ウォーターズの他に、ラムゼイ・ルイスやミニリパ在籍時のロータリー・コネクションも収録。チャールズ・ステップニーなど後のEW&F人脈の個性が光る。アヴァン・ディスコとでもいうべき1)は今年再評価の気運が高まっている前衛チェロ奏者(?)の編集盤。アレン・ギンズバーグのバックを務めたりデヴィッド・バーンとのつながりなどニューヨーク・アングラ界とのかかわりも興味深い。同じSoul Jazzから昨年発売されたV. A. / New York Noise: Dance Music From the New York Underground 1978-1982 (Soul Jazz 2003)も注目。8)は活動拠点とジャンルを軽々と横断し続けたメイヨ・トンプソンのキャリアを一望できるシングル集。これまでボーナス・トラックなどで小出しにされていたファンク・ブラザーズの音源3)も、映画『永遠のモータウン』公開をきっかけにまとまった形で発売。そのモータウン・ナンバーをステージで歌い継ぐローラ・ニーロの6)。2)はここ参照。ボーナス・トラック付きで再発された5)と7)。10)はいつものデラックス・エディション。
今年の初めは10年ぶりにファンク熱が再燃して、V.A. /SuperFunkPresents Funk Soul Sisters (Ace 2003)、V.A. / Funk Soul Sisters (Union Square 2001)、V.A. / Bay Area Funk: Funk & Soul Essentials from San Francisco, Oakland, and the Bay Area, 1967-1976. Vol. 1 (Luv n' Haight 2003)、V.A. / Message from West to West: Luv n' Haight Collection (Luv n' Haight 2003)、V.A. / Inner City Sounds: Gritty Soul & Underground Funk from the Vaults of Inner City Records (Ubiquity 2003)などのコンピを聴きまくり。とくにベイ・エリアの層の厚さにはあらためて驚いた。やっぱり45sを集めないといけないなあと思いつつその気はあまりないので今後もどしどしCDにしてください。
ルーツ・ミュージック関連ではマーティン・スコセッシ監修のMartin Scorsese Presents The Blues: A Musical Journey (Vulcan Productions and Road Movies Filmproduktion 2003) 7DVDsにつきるけど、他にも映像資料としてはV.A. / Time Ain't Like They Used to Be: Early American Rural & Popular Music (Yazoo 2000) DVDとThe American Folk Blues Festival 1962-1969 Vol. 3 (Reelin' In the Years Productions 2004) DVDが重要。とくに前者は1930年代の映像が中心で、ブルースやヒルビリーなどジャンルが分化される以前の貴重な資料。
最後に、iPodを買ったので電車の中で音楽を聴くようになった。CDもMDも携帯プレイヤーを持ったことがないので、カセットテープの初代ウォークマン以来かも。