エディ、シベ少、バベル
ここ数日の出来事。
土曜日はSさん、Eさんとエディ・リーダー@恵比寿リキッドルーム。もう何もいうことなし(by Sさん)。ロックはこのようにオトナになるべし、といった模範例。楽器陣の卓越したミュージシャンシップとコブシが効いたエディのヴォーカルが要所で音楽的な化学反応を起こして心地いいことこの上なし。トラッド色をますます強めた最新作『Peacetime』からフェアグラウンド・アトラクション時代のヒット曲まで、余裕綽々と歌い上げる。途中、PAのトラブルに見舞われたりしたものの、まったく動じることなく中村俊輔のユニフォームを取り出して応援歌を歌いだすなど茶目っ気たっぷりのステージ(エディはスコットランド出身)。会場のお客さんも温かくて(というよりしつこくて)、アンコール終了後に客電がついたあとも誰一人として帰ろうとせず、メンバーを引きずり出してダブル・アンコール。それにしてもかわいらしいおばちゃんでした。
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昨晩は非常勤先に出講したあと学生数人と『バベル』@渋東シネタワー。この監督(アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ)の前作『21グラム』はここ数年観た映画の中でもっとも不愉快な作品だったので、事前に学生には「観終わったあとヘドロのようにぶつぶつ文句を垂れ流す可能性あり」と警告しておく。結論からいうと、思ったよりは良かったが・・というところ。ついでにいえば、2005年度アカデミー賞受賞作『クラッシュ』も『ナイロビの蜂』もイライラしっぱなしで、これをいうと知人に「あなたはコジャレた社会派映画が嫌いなだけでしょ」と一蹴されました。たしかに『レディ・イン・ザ・ウォーター』はどうみても「コジャレた社会派映画」とはいいがたい・・。でもそんなことは抜きにして一つだけいうと、ある社会的な問題を扱っているように見せかけて(『クラッシュ』ならアメリカのマイノリティ問題)、その実、その作品そのものがそうした問題(『クラッシュ』でいえば人種的/民族的ステレオタイプ)を再生産/強化しているだけというのは、やはりそれ自体が「問題」だろうと。むりやりシベ少の話と繋げるなら、「笑い」も「不気味さ」も、ましてや「アイロニー」もない「類型化」は、たんに陳腐なだけであって、それは今回の『バベル』にもいえるのではないか。